2010年2月28日日曜日

RAW現像ソフト DxO Optics Pro 6とCapture NX2

View NXは無料で使えるニコンの現像ソフトだが操作性が最悪だ。パラメータを変更する度にNEFファイルが更新されてしまい、この処理に異常な時間が掛かる。保存操作をしていないにも関わらず元データであるNEFファイルが更新されてしまうことにも閉口する。そのため、撮影時のパラメータを一切変更せずにJpegファイルへバッチ変換するか、1コマだけパラメータを変更して現像し直すくらいにしか使えない。また、View NXで現像されたD700の画像を見ていると、細部がぼやけて塗りつぶされたようになっているように感じられ、今ひとつ解像感に欠ける。たまたまDxO Optics Pro 6というRAW現像ソフトの体験版をダウンロードしてみたところ、デフォルトのパラメータで非常に自然な画像が得られることが分かった。現像時にアンシャープマスクの細かいパラメータ調整もしてみたかったので、DxO Optics Pro 6とCapture NX2の体験版で画像を比べてみる。

比較用画像の全体
Nikon D700 Nikkor-S Auto 35mm F2.8, F11 ISO800


DxO Optics Pro 6のデフォルトパラメータでの画像は、コントラストを見るとニコンのピクチャーコントロールでの[SD](スタンダード)に近い。View NXもCapture NX2も同じニコンのソフトなので、ピクチャーコントロールのパラメータが同一なら出てくる画像も同一のようだ。DxO Optics Pro 6で控えめにアンシャープマスクをかけて現像した画像は不自然なエッジを出さずに抜群の解像感が得られた。ざらついた画像ではあるものの、石段や金属の手摺などの質感が良く、細部の消え入り方が銀塩写真の感覚に近い。Capture NX2でもアンシャープマスクをかけることができるが、半径のパラメータを最小にしてもデジカメ臭い不自然なエッジが目立つだけで、これならなにもしない方が良い。


 Capture NX 2
ピクチャーコントロール[SD](スタンダード)
パラメータはすべてデフォルト
 
 DxO Optics Pro 6
DxOデフォルト


Capture NX 2
ピクチャーコントロール[SD](スタンダード)
デフォルト+アンシャープマスク(RGB/適用量100%/半径1%/しきい値0)

  DxO Optics Pro 6
DxOデフォルトアンシャープマスク(濃度200/半径0.5/しきい値0)



View NXとCapture NXで現像した画像に、偽色のような部分を見つけた。緑青色の屋根に黄色い部分が見える。DxO Optics Pro 6で現像した画像はこんなふうにはならない。

DxO Optics Pro 6


 Capture NX 2 (View NXで現像した画像もこれと全く同じ)
ピクチャーコントロール[SD](スタンダード)

以前からニコンのピクセル等倍画像には疑問があり、5Dや7Dなどキヤノン機のサンプル画像と比べると明らかに解像感が劣るように感じていた。ローパスフィルターの違いによるものかと思っていたが、どうやら画像処理のポリシーの違いによるものが大きいようだ。ただ、現像時にアンシャープマスクを掛けるのはパンフォーカス的な細密描写には有効だが、ボケを生かした作画ではざらつきが目立ってしまい、万能というわけでもなさそうだ。

2010年2月25日木曜日

SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL その2

先日のSIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICALをまた持ち出してみた。テレ側35mmではAFはうまく作動するが、ワイド側18mmではAFがうまく作動せず、無限遠の被写体がピントリングの2m程のところで合焦してしまう。被写界深度でカバーされる範囲ではなく、拡大してみると明らかにピンボケだ。MFでピントリングを無限遠に合わせればちゃんとピントが合う。早速、俺愛用のNikkor-UD Auto 20mm F3.5と各絞り値での画像を比較してみる。なお、SIGMAレンズのテレ側には興味がないのでテストは割愛する。


全体画像
 SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL  18mm
Nikkor-UD Auto 20mm F3.5, F11
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 

中央部の比較

周辺部(左下)の比較


SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICALの描写性能については評価が分かれるようで、ググってみたところ描写が甘く使い物にならないという人もいれば、天体写真の分野ではワイド側開放時のコマの少なさや周辺光量不足の少なさが評価されていたりする。このレンズは中玉に汚れのあるジャンク品のためコントラストは低めだが、実際のところシャープネスに関してはまずまずのように思える。20mm時の周辺が異常に甘いのが気になるが、18mm時は周辺も良好だ。中央部については絞りの違いによるシャープネスの変化はあまり見られず、開放付近はコントラストは低いものの絞った状態とさほど変わりない。Nikkor-UD Auto 20mm F3.5は非常に古い単焦点レンズだが描写性能には定評があり、中央部は開放から十分なコントラストで、絞るに従い周辺も良くなる。開放付近での周辺光量不足は目立つものの、このレンズは近年オーバーホールしてもらったばかりなので非常にヌケが良い。


 SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL  18mm F11
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 


SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL  18mm F11
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 

 SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL  18mm F3.5
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS]

Nikkor-UD Auto 20mm F3.5, F11
Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 

 Nikkor-UD Auto 20mm F3.5, F11
 Nikon D700 ISO200 ピクチャーコントロール[LS] 

  Nikkor-UD Auto 20mm F3.5 F5.6
観察小屋に備え付けの60mmフィールドスコープ(20倍)にコリメート
 Nikon D700 ISO800 ピクチャーコントロール[LS] 

撮影場所:東京港野鳥公園 (大田区)

2010年2月24日水曜日

ペンEE DNPセンチュリア200

DNPセンチュリアというフィルムは、色は悪いけれど値段が安いのでよく使っていた。もう生産されていないそうだ。冷蔵庫に一本だけセンチュリア200が残っていたので、この前レンズを清掃したペンEEに入れて撮ってみることにした。レンズ清掃の効果があったのか無かったのか、逆光ではもやっとしてコントラストが低い。


Olympus PEN-EE D.Zuiko 2.8cm F3.5
DNP CENTURIA 200

最後の画像の中央部をクロップしたもの。推定絞り値はF22。
DNPセンチュリア200は粒子が非常に粗く、超高感度フィルムのようだ。
 デジタル化はD700にベローズ・スライドコピア、
Aiマイクロニッコール55mmF3.5をリバースで使用。

ペンEEは固定焦点なので、ピントを操作することができない。操作としては写るンですのようなレンズ付きフィルムと同じなのだが、あれとは構造も撮影方法も根本的に違う。ペンEEは絞りとシャッタースピードが可変であるがゆえ、レンズ付きフィルムよりもずっと奥が深いのだ。プログラムEEなので、絞りとシャッタースピードを直接操作することはできない。だが、シャッターボタンを半押しすれば絞り羽根の開口具合から大体の絞り値を読み取ることができる。ピントを操作することはできないけれど、そうやって撮影距離と被写界深度を考慮してやれば、シャープな画像を撮ることができるのだ。それは制約というよりもむしろ、一種のスタイルやフォーマットみたいなものだ。構図や距離範囲がその場の明るさによってある程度決められてしまうが、できる範囲で工夫する面白さがある。3.2メートル先の被写体だけを探すとなると随分ストイックだが、屋外ではたいてい赤ベロ寸前にまで絞り込むことができるので、中距離から無限遠までをパンフォーカス撮影することもできる。

2010年2月23日火曜日

SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL

またジャンク品だ。中玉に汚れがあるものの、レンズには傷もなく動作にも異常は無い。シグマのレンズは使ったことがなく、面白そうなので試してみることにした。




SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL
ジャンク品 3150円+フード105円
中野区F店J館

中玉の汚れ。結露痕にカビが付いたものだろうか。

空を撮影して周辺光量のチェックをしていたところ、ヴィネットコントロールがON(High)の状態では画面周辺部が白っぽくなり、過剰補正になることに気付いた。D700に装着するとNikkorのほぼ同スペックのレンズ、Ai AF Zoom Nikkor ED 18-35mm F3.5-4.5D(IF)として処理されるようで、撮影した画像はView NXで表示させるとメタデータは「18-35mm F/3.3-4.5D」となっている。


ヴィネットコントロールOFFの状態では、周辺減光はF5.6でおおむね解消される。18mmレンズとしては良い方なので、ヴィネットコントロールはOFFにした方が良い結果が得られるだろう。35mm時の周辺光量はチェックしていない。この分なら多分開放でも均一だろう。
18mm側と35mm側で開放から各絞りで撮影し、シャープネスのチェックをしたが、絞りを変化させても画像はあまり変化しないので結果の画像については割愛する。要するに変化は普通である。開放では周辺部の像がやや甘く全体にコントラストが低い。1~2段絞れば画面全体が均一になりコントラストも良くなるが、中央部のシャープネスは開放とそれほど変らない。最小絞りのF22ではF16よりやや甘くなる。シャープネスについては良いとは言えないが、このクラスの超広角ズームとしては普通なのかもしれない。順光ではそれなりによく写るが、中玉の汚れの影響もあると思われコントラストが低くヌケが悪い。35mm時は逆光にはかなり弱く、フレアやゴーストがすごい。ディストーションは少ない方だが良いとも言えない。このレンズの価値は超広角18mmの画角の面白さだけだが、最近接撮影距離は50cmで、18mmとしては物足りない。

 18mm F11

  18mm F11

 
  18mm F11

  
   18mm F16


 18mm F11


35mm F11

逆光時のフレア 35mm F11

 Nikon D700, SIGMA 18-35mm F3.5-4.5 ASPHERICAL
ISO200 ピクチャーコントロール[LS]

2010年2月21日日曜日

梅に鶯

梅の木にやってきて花の蜜をチューチューするこの鳥はメジロという名前で、本当のウグイスは花の蜜は吸わないそうである。

 梅にメジロ

 
ヒヨドリ 

  
ムクドリ

これはウグイスっぽいが、
ジョウビタキという鳥のメスであるらしい。
 
 Nikon D700, AF Zoom Nikkor 80-200mm F/2.8s ED
画像はトリミングしたもの

2010年2月15日月曜日

ペンEEをきれいにする レンズ編

前回、前玉化粧リング外すことができなかったが、やっと外すことできた。早速レンズをきれいにしよう。化粧リングやレンズ固定リングの切り溝を回すためには、本来はレンズレンチ、あるいはカニ目回しなどと言われている工具が必要になる。だがそれは持っていない。コンパスやピンセット、マイナスドライバー2本などで外せる場合もあるが、工具が滑るとレンズを傷つけたり切り溝を潰してしまう。すでに前回、マイナスドライバーで2~3度失敗してしまい、化粧リングに傷をつけてしまった。今回は、最終的にこんな道具で外すことができた。

T字型のスライドが付いたステンレス製の定規を
Gクランププライヤー2個ではさんだもの。
これで化粧リングとレンズ固定リングを回す。

まず化粧リングを外す。

銀色のリングを外す。

サークルアイ部分が外れる。
セレン光電池のリード線が本体とつながっているので注意しなければならない。

前玉のレンズ固定リングを外す。

レンズユニットを外そうとしたところ、どうやら上カバーを先に外さなければならないことが分かった。上カバーを先に外す。なお、2枚目のレンズはレンズユニットをボディにつけたまま緩めるのが正解だったが、今回は先にレンズユニットを外してしまった。

レンズユニットは3本のマイナスネジでボディに取り付けられている。
レンズ鏡筒と絞りが一体になっている。
ボディとの間にスプリングなどのリンク部品は無い。
シャッターボタンを押すと、ボディ側の段カム左端がレンズユニットの絞りレバーを下に押す仕組み。

レンズユニットとボディの間には、リング状のスペーサーが2枚入っている。
組み立て時に角度や順序を間違えることがないように保管。


レンズユニットとスペーサーを取り外した状態。
ビハインドシャッターなのでこれより奥にレンズは無い。
シャッターに不具合はなく、見た目もきれいなので今回は手を付けない。

取り外したレンズユニット前面。
てっぺんやや左の真鍮製の部品が絞りレバー。
スプリングで絞る方向にテンションがかかっている。
右の突起に板バネが付いていて、サークルアイ部のクリックストップになる。

レンズユニットを逆さにすると最前面の玉が外れる。

取り外したレンズユニット後側
今回は外さなかったが、後玉を取り出すには多分このカニ目を開ける

2枚目のレンズはリングごと外れるが、レンズユニットを取り外した状態では緩めることができなかったので、レンズユニットをいったんボディに戻した。

2枚目のレンズを外す。
最前面と2枚目のレンズは単レンズ。
前群2枚にはひどい汚れやカビはなかった。

絞りレバーを押して後群レンズ表面にアクセスする。
D.Zuiko 2.8cm F3.5は
3群4枚のテッサータイプで
後玉が2枚貼り合わせレンズだ。

この面がひどい。カビでコーティングがやられていて完全にきれいにすることはできないが、
アルコールでカビや汚れをよく拭いておこう。

絞り羽根の根元に錆びがあったのでアルコールで拭いたところ、カスレが出て動きが悪くなった。ここは油を注してはならない箇所だが、鉛筆を塗ればスルスル動くようになる。

後玉クリーニング後。少しクモリが残る箇所があるが、十分クリアーだ。

しっかり組み立て直してから動作確認。EEもマニュアル絞りもちゃんと機能する。サークルアイ部分は薄くグリスを塗ってから取り付けたので回転もスムーズだ。化粧リングやレンズ固定リングの切り溝につけてしまった傷は、マジックインキでタッチアップしてごまかすことにしよう。使い込まれたことによる外装の傷みは風情にもなるが、素人の分解痕だけはみっともないので。
さて、気になっていた撮影レンズのクリーニングもできたので、ペンEEをきれいにする件はこれにてすべて完了だ。きれいになったレンズの写りが楽しみだ。