2018年1月27日土曜日

パノラマ雲台を使い自由雲台で左右の傾きを微調整する方法

前回はベルボンのプレシジョンレベラーを使ったが、シンプルにパノラマ雲台を使った方が高さが抑えられるので、今回はこれを使う。ベルボンUTC-63三脚に付属している雲台はQHD-S6Qという自由雲台だ。自由雲台の問題は、微妙な水平出しが難しいことだ。ふつう風景や物撮りでは上下の水平は構図によって任意のためあまり厳密ではないが、左右の傾きは見苦しくなるので無くさなければならない。自由雲台は、ボールの固定を緩めるとすべての方向がフリーになり、3ウェイ雲台のように左右の傾きだけを調整するという操作ができないので、水平出しの際には必ず同時に構図も合わせ直さなければならない。逆も同じで、この雲台はボールとは別に水平パン軸を持っているものの、上下方向についてほんの少しでも構図を変えようとすれば、同時に毎回必ず水平出しの操作が必要になる。QHD-S6Q自由雲台には、緩めた際にガクンと倒れないように、緩め幅を制限する機構は付いているが、半締めの抵抗がかかった状態でカメラを動かすとバックラッシュが生じ、細かい調整をするのには思いのほか手間と時間がかかる。また、緩めすぎると構図も大きくズレてしまい、一からやり直しとなる。UTC-63三脚の雲台はもちろん交換可能だが、規定の収納性能を発揮させるためにも付属のQHD-S6Q雲台を使わないのは惜しい。そこで今回のこの方法だ。UTC-63三脚に付属しているQHD-S6Qのような、水平独立パンのできる自由雲台にこれを乗っけることにより、画期的な方法で左右の傾きを微調整することができる。

MENGS PAN-C1 パノラマ式クランプ


パノラマ雲台を使い自由雲台で左右の傾きを微調整する方法

三脚をほんの少しだけ前傾に設置し、自由雲台のボール固定ノブを操作して構図を合わせる。カメラが上向きや下向きになるような構図では、三脚を前傾に設置する必要は無い。三脚を前傾(あるいは後傾でも構わない)に設置する必要があるのは水平線が上下の真ん中になる構図をとる場合だけ。三脚がほとんど垂直に立っていると雲台を回しても左右の傾きが変化しないからだ。アイレベル程度の高さなら三脚の前の脚を2センチほど縮めれば良く、重量バランスが不安になる程露骨に前傾にする必要は無い。石突が滑らない状況であれば、前脚を少し閉じて引く(後傾)方法でも代用できる。

この状態で、パノラマ回転台と、自由雲台の水平パン軸のロックを解除し、回転フリーの状態にする。

カメラが前方を向いたままになるようにつかんで固定し、もう片方の手で雲台をつかんで左右に少し回転させると、左右方向の傾きを微妙に変化させることができる。

雲台部分を右に回転させると、カメラを左に傾けることができる。

雲台部分を左に回転させるとカメラを右に傾けることができる。

スリックのフリーターン雲台の水平出し操作に似ているが、自由雲台とパノラマ雲台を使うこの方法では、カメラの重量を手で支える必要がない。手を放してもカメラがガクンと倒れる心配が無く、重量のある望遠レンズを装着した場合にも左右方向の微妙な傾き調整をゆっくりと安全におこなうことができる。雲台ごと水平回転させる動作が左右の傾きの変化に変換されるので、グリスの効いたじんわりとした微妙な操作ができる上に、バックラッシュを生じることもない。構図が水平方向にズレることはあるが、これを戻すのはパノラマ回転台で水平方向を修正するだけなので簡単だ。先日開発した新型レベラーと合わせ、これで自由雲台での水平出しが一層捗るというわけだ。

パノラマ雲台について
Amazonでパノラマ雲台を探すと安価な中国製の物がたくさん見つかるが、中には「三脚や雲台に乗せネジを締め付けると回転できなくなる」などというおかしな構造のものもあるようで選定が難しい。今回手に入れたのは「MENGS PAN-C1」という品物だ。

 
MENGSブランドの品は初めて手にしたが、意外に精密感があり、機能上も問題なく使用可能。商品説明には書いて無かったが、届いた品には1/4~3/8インチの変換ネジがちゃんと付属していた。回転もスムーズでロックもしっかりできるし、水準器もおかしくない。耐荷重は5kgとなっており鵜呑みにはできないが、鉛直に重みが掛かるように使う分には問題は無さそうだ。回転ロック機構は見ての通り重量を支えるような構造ではないので、これを縦にしてジンバルの軸に使ったりするのは危険と思われる。


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